GGJ2015石川会場@JAISTの運営・参加レポート

GlobalGameJam2015を石川会場(北陸先端科学技術大学院大学)で参加・運営してきました。これまで大学ではGGJ2010、GGJ2013、GGJ2014で今回と4回目のGGJ開催です。

基調講演ビデオ

GGJでは毎回、全世界共通の基調講演を見ることになってます。


Global Game Jam 2015 Keynotes - YouTube

簡単に要約すると、作った作品を誰にも見せないでいたら幸せになれず、その裏には形にならなかったアイディアが沢山あったので、ク◯ゲーでもいいからとにかく作れ!な話や、ゲームにおける性差別の問題、デジタルとアナログを融合したハイブリッドゲームの紹介など、聞き入っていました。

運営側の話を書くと、開催数日前に動画のURLをメールで教えてもらい、ボランティアの方に準備してもらった日本語用字幕を動画ソフトで追加して確認する作業が必要だったので前もって1,2度動画を見ていましたが、何度見てもいいものだなと。

GlobalGameJam2015テーマ


Global Game Jam 2015 - Theme Announcement ...

“What Do We Do, Now?"「今、私達は何をするのか?」

これが今回のゲームジャムのテーマでした。前回にも増して挑戦的で様々なアイディアが生まれそうなテーマだと思いました。

コンセプトシートの記入からチームビルディングへ

石川会場ではテーマを元に一人ひとりコンセプトシートを記入してもらい、30分ほど企画を考えてもらいました。ここではハイライト法を参考に参加者には気に入ったコンセプトに星をつけてもらいコンセプトを絞っていきました。それを10枚ほどに絞り発案者に発表してもらい投票し、そこからさらに5つにコンセプトまで絞って4つのチームを作り開発を開始してもらいました。

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この方法で良いことは自分の作りたいコンセプトからゲーム開発を始められること、チームが決まった時点でチーム内で企画のイメージを共有できていることだと思います。チーム分けした後にコンセプトを考える際に起きる問題、例えば企画の好みの問題や企画に意見できなかったという問題を回避できると思います。
この方法についてはGGJが終了した後に教えてもらいましたが、企画出しでは以下のスライドが参考になると思います。

また、Diversifies(実績、達成目標)を企画を考える時に意識してもらいました。
GGJ2015の実績リスト | Global Game Jam JAPAN

ゲーム紹介

それではようやくゲームの紹介です。
まずは今回が初の試みとなる「オーディエンス賞」受賞作の紹介です。成果報告会を見学して頂いた方々に選んでもらいました。
オーディエンス賞
チームB:桃太郎「もものまま。」
桃太郎を題材とした作品で、おばあさんに取られることのなかった桃がそのまま川を流れ、鬼や流木といった障害をうまく避けるゲームです。

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評価された点はゲームの始めに導入となる物語が用意され、完成度が高かったことと操作のシンプルさとのことでした。 

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日本のおとぎ話の桃太郎を元に考えたことで Diversifiersを達成していました。
成果報告会では気づかなかったのですが、あとで話を聞くと桃がふよふよ揺れるアニメーションをLive2Dを利用して付けていたり、子鬼のモーションが付いていたり細かい点に工夫をこらしているとか。
プレイしてみると、横移動だけなので簡単に操作できますが、敵の量と動きが調整されており難易度がちょうど良かったと思います。
チーム構成は情報工学系の院生2人に高専生、美大生の4人チームでバランスの良いチームだったと思います。
 
以下、その他の作品紹介です。
チームA:チームアライブ「Alive March」

Alive March | Global Game Jam

デスマーチ」をゲーム化!f:id:yoshioka44011:20150128024705p:plain

ゲームジャムでテーマが“What Do We Do, Now?”...「僕たちはデスマーチをやっているんだ!」と高らかに宣言しチーム開発に入っていました。

特にシミュレーションゲームは、全体の管理と関係性で成り立つためゲームジャム向きではないかもしれませんが、果敢にも挑戦してくれました。
 実際に遊んでみての感想はというと、レベルを上げて物理で殴れな部分もあり、まだまだ磨く部分がありますがこの企画でよくぞ作ってくれたなと思います。

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チーム構成は、全員プログラマで作成経験がある人がモデルを作っていたようです。
 チームC:Like A BOSStudio「After Party」

After Party | Global Game Jam

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このチームでは、ボードゲームとデジタルアプリを組み合わせたハイブリッドゲームを作りました。導入としては、以下のようになりました。
実家で友人たちとパーティで騒いでいたら親から「もうすぐ帰るよ!」との連絡が。親が帰ってくる前に早く掃除しよう!!
プレイヤーは親が帰ってくる前に、部屋中にある4つの道具(下のボードの掃除機、トンカチ、ゴミ箱、スポンジバケツ)を拾いながら、家中に散らばった「チーズピザ」や「汚れたブーツ」など12枚のタスクカードを消化(掃除、修理)しなければなりません。

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12枚のタスクカード(下の画像)はゲーム開始時にシャッフルし、上のボードの空白部分に2枚ずつ裏表示で伏せます。
プレイヤーの初期位置は玄関で、行動時は1〜3の目のダイスを振ります。部屋間を移動しながら自分の持っている道具を交換したり、タスクを達成できるか確認します。
部屋中にある4つの道具は2つまでしか持てず、道具を交換する場合はその部屋に置いて行かなければなりません。

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 下の画面がデジタルアプリの画面ですが、親が帰ってくる残り時間(残りターン数)やダイスを振る機能、タスク管理、親に遅く帰るようSMSでお願いするボーナス機能を利用できます。

プレイしてみると結果はダイス運やタスクカードの引き運に左右されてしまいますが、残りのタスクカードの位置を予測することで攻略することができますし、(パーティで友人たちが暴れた後に)「Unhinged Door: 壊れたドア」や「Muddy Footprints: 汚れた靴」のタスクカードがバスルームにあったり、がキッチンにあったりするのでおもしろかったです。2人プレイもできるので協力プレイで掃除、修理するのも楽しいかと。
チーム構成は、ゲームデザイナー1人、プログラマ2人、デザイナー2人でした。ゲームデザイン専任で考えてくれる人がいると助かりました。日本語が話せない参加者がいたためチームの会話はほとんど英語になり、大変でしたが普段できない英語での開発を体験することができました。
ボードゲームにおいてとても重要なことですが、日本語版のルールブックが完成しなかったのでできれば追加で公開したいと思います。。
チームD:「立体迷路」
ルールはシンプルで、ボールをゴール(白い立体)に導くゲームです。当初のコンセプトシートの段階ではノーマークでしたが、α版公開時に画面を見たときは自分の好みでよくできていたと思います。

キャプチャーだと見づらかったので画像加工ソフトで明るさを上げています。プロジェクターで見るときれいでよくできていたと思います。

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見ようによってはピエト・モンドリアンの絵画みたいだなと。その他、黄色い立体に触れると重力の向きが変更するということで、Diversifiersで「一般相対性理論100周年記念」を達成していました。
プレイしてみるとマウスで操作は難しそうで、MacBookのトラックパッドでグリグリ回転させればプレイ出来ました。後はボールの位置が見づらいので周辺の経路が光って見えるといいかもしれません。BGMも欲しい所。
その他、もっと直感的に立体を回転させることができれば良さそうです。タブレットの加速度センサーを使ったり、もういっそルービックキューブに加速度センサーつけて実際に回せるようになると直感的に体験できそうですね。
チーム構成はプログラマ3人、デザイナー2人でした。

感想

今回は19人に参加してもらい、学内の院生と社会人1名に金沢の様々な大学と各方面から参加してもらえました。
個人的にも、ボードゲームを作ったり、英語でコミュニケーションを取りつつ開発でき大変でしたが楽しかったですね。自分の班ではボードゲームを作りましたが、始めは「どうぶつの森」や「妖怪ウォッチ」から「ペーパーマリオ」のような2.5Dアクションゲームをイメージしていたのですがいつのまにかボードゲームを作る方向に...ゲームの企画云々以前の問題でコミュニケーションは難しいなと改めて感じました。
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それ以外にも企画が終わった後に早い段階からゲームメカニクス、おもしろさの核の部分を確認できてよかったです。以前ツイートしてたことを達成出来ました。

最後に、一緒に運営してくれたゲームサークルの皆、協力して頂いた宮田先生、今回参加して頂いた方々、見学に来ていただいた越野先生、checkelaさん、協賛して頂いた企業の方々ありがとうございました。

また、IGDA日本の小野さん、日本会場全体を取りまとめて頂いた金子さん、基調講演ビデオを翻訳して頂いた矢澤さん、中継して頂いた中林さん、佐藤さん、その他協力して頂いた方々ありがとうございました。

これからもゲームジャムを続けていきたいです。